孤独死が年7.6万人、4割が4日以上発見されず…高齢の親を「配食サービス」で見守る?

●この記事のポイント
・孤独死をした7.6万人のうち、65歳以上の高齢者は5.8万人で全体の7割以上
・高齢の親との連絡が途切れがちな場合に活用したいのが、食事を自宅まで届けてくれる「配食サービス」
・シニア向けのサービスでは弁当の配達を玄関先で手渡しすることが多く、安否確認も兼ねているのも特徴
2025年4月、警察庁は2024年中に取り扱った死体のうち、自宅で亡くなった一人暮らしの方の人数は7.6万人だったと発表した。孤独死の件数が全国的に発表されたのは今回が初めてとなる。孤独死をした7.6万人のうち、65歳以上の高齢者は5.8万人で全体の7割以上を占めた。年齢層別に見ると、最も多かったのは85歳以上の高齢者で1.5万人だった。遠く離れた故郷で一人暮らしをしている高齢の親がいる子ども世代にとって、親の急病や孤独死は他人事とは思えない心配事だろう。
●目次
高齢者の孤独死は発見までに日数がかかる傾向
ここで言う孤独死とは、誰にも看取られずに自宅でひとり亡くなることを指す。日本では生涯未婚の割合が増加傾向にあり、どの世代も一人暮らしの人が増えている。一人暮らしだと自宅で何かあったときに、すぐに誰かが駆けつけたり救急車を呼んだりできる環境ではない。若い世代であっても、一定数誰にも看取られずに亡くなるケースはある。
しかし、若い世代は学校や職場などのつながりがあるため、急病や突然死などが起きた場合に異変が察知されやすい。つまり、孤独死しても早期に発見される可能性が高くなる。一方のシニア世代では、一般的には仕事をリタイアしている方が多い。ご近所付き合いや趣味のサークル・習い事、介護や医療サービスの利用などがあれば人とのつながりを保てるが、そうでなければ難しさを感じる方も少なくないだろう。
特にもともと元気で介護が必要のないシニアの場合、定期的に顔を合わせる人が少ない可能性もある。こういった事情もあり、孤独死をしたあと発見されるまでに4日以上かかった高齢者は2.3万人いた。孤独死をした高齢者の4割が4日以上発見されなかったということになる。
亡くなってから4日以上経つと腐敗が始まり、一般的な供養をおこなうことができなくなる可能性がある。親の異変には早く気付いてあげたいし、万が一のときも最期のお別れをしっかりしたいと考える子どもは多いのではないだろうか。現実的なことを言えば、発見が遅れた場合、自宅の特殊清掃が必要になることも多く、費用面での負担も重くなる。
離れて暮らす親の安否を確認し、困り事があったらすぐに相談してもらえる関係を作るにはどうしたらいいのだろうか。
離れて暮らす高齢の親を見守るために利用したい「配食サービス」
高齢の親との連絡が途切れがちな場合に活用したいのが、食事を自宅まで届けてくれる「配食サービス」だ。
シニアの一人暮らしでは、食材の買い出しから調理までが負担になり、規則正しい食習慣を維持するのが難しくなるケースも多い。1日1食でも健康に配慮した弁当が届くのは安心につながるはずだ。また、シニア向けのサービスでは弁当の配達を玄関先で手渡しすることが多く、安否確認も兼ねているのも特徴だ。利用者に何か問題があれば、指定の連絡先に通報するサービスもある。
年齢や要介護度といった条件はあるものの、申請すれば配食サービスを利用時に補助金をもらえる市区町村もある。例えば東京都渋谷区では、75歳以上、介護保険で「要支援」「要介護」の認定を受けている、「事業対象者」の判定を受けている、セーフティーネット見守りサポート事業に登録しているなどの条件があるが、区と事業協力している業者の弁当にかかる費用を1日150円分補助してもらえる。業者によって弁当の価格はさまざまだが、平均的な価格帯のものを選べばワンコイン程度で1食分をまかなえる。
1食150円の助成というと大した金額ではないと思うかもしれないが、物価高の時代にはありがたい制度といえるだろう。
配食サービスがない自治体や条件が合わない場合は、民間の配食サービスを利用するのもおすすめだ。例えば、「ワタミの配食」では、配達員が毎日決まった時間帯に手渡しで弁当を届けるのでシニアの安否確認として有効だ。弁当はメニューや味付けに変化があり、毎日食べても飽きないよう工夫がされている。「まごころ弁当」では、糖質やカロリー、たんぱく質などを調整した弁当も取り扱っている。利用者の噛む力に合わせて、食材の軟らかさや刻み方が選べるのも魅力だ。
民間の宅食サービスでは、無料もしくはお得な価格でお試しができることも多い。帰省の際に親と一緒に食べ比べをしながら、どこの配食サービスがよいかを検討するのもよいだろう。
(文=藤川ゆきえ/終活ライター)